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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
……反対側の手で、ぎゅっと拳を作った秋。
「そんな姿を見て、沸々と怒りが込み上げてきてさ。
情けねぇし、惨めだし、今までのてめぇの態度はなんだったんだって。
母の受けた傷は? 俺の背中の焼け跡は? 眼球は?」
「……っ」
「お前が追い出したくせに、何自分が1番傷付いたみたいな顔してるんだよ。
最低で死ぬほどかっこわりぃな俺の父親はって……心の中で何度も罵倒してた」
私はもう、秋の言葉に耳を傾けることしか出来なくて
……一言一言を、食い入るように胸に刻んでいく。
「……だけど
しばらくすると飯も食わなくなったから……作ってやったんだ」
「……!」
「母の手料理を思い出して、すっげー簡単なやつ。
なんでそんなことしてやったのか、今でも疑問だけど」
「……っ」
「最初は全然食わねぇの。
……唇噛んで、ずっと泣いてて」
視線を伏せた秋が、思い出すようにそう言って
開いた手のひらを見つめた。
「 ‟ 悪かった ” って言ったあいつを
結局俺は見捨てられなかった」
「……っ」
「全部ぶちまけて通報することも
逃げて捨ててやることも、自らの手で殺すことだって可能なのに
そうすべきだったのに
……空になった皿を見たら……出来なかった」