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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
── 20年前の小さな秋を思い浮かべると
今私の隣りに座る姿と……変わらない優しさが滲んで見えてくるような気がした。
「秋の優しさは……きっとお母さんから受け継いだのね」
秋の手を両手で握ってそう言ったけど
「その半分は、父親の血だ」
低い声で呟いた秋が、私から手を離す。
「俺もしえりさんと、ある意味似てるんだ」
「……!」
「浴びせられた呪いの言葉が、しこりみたいに残って消えなくて。
違うと否定すればする程、心に根深く影を落としてた」
……私と似ている?
「自分の意志とは関係なく
豹変するかもしれねぇし、傷付けるかもしれない」
「……!」
「外面がよくて、誰とでもうまく接する能力が備わっているけど
……そんな普段の自分は仮面をかぶっているだけで
本当に大事な人の前では、化けの皮が剥がれるかもしれない」
……最後は、少し擦れた声になった秋が
私を見ると切ない表情で……小さく笑った。
「── 怖いんだ、ずっと」
「……!」
「誰かを愛して、その人と家族になった未来を想像すると
必ず、自分が父親と同じ姿に重なる」
「……っ」
「大切な人が、俺を恐怖の目で見て離れていく。
……母が父を見た瞳と同じように」