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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
秋の腕をギュッと握ってそう答えると
小さく息を吐いた秋も、私に体を寄せた。
「やっぱりあんたは変わってる。
普通は引くよ、恋人からこんな重い話されたら」
「……」
「 “ 怖い ” なんて、初めて口にしたし。
……しえりさんにだから、俺は正直に話せたんだろうな」
完全に乾いていなかった、秋の髪から雫が落ちる。
……秋の抱えている暗い過去。
結婚しないと決めた、強い意志の背景。
私とは比べ物にならない程、大きな苦しみを背負った彼の
救いに繋がる、何かきっかけになることがあれば……
「家を出ていってから、お母さんとは……?」
秋に体を預けながらそう聞くと
「1度も会ってない」
「……!」
「仲介を通して、俺の方から強く拒否してた。
……気付いたらもう20年だな」
頭に掛けたタオルで水滴を拭って、秋が呟いた。
……20年……
とてもつもない長い期間。
9歳なんて、まだまだ親の愛が必要な時だ。
きっと色んな葛藤があったに違いない。
それに、本当は……
「……秋」
「ん?」
「……お母さんに、会いたいよね?」