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アンケートから生まれた Love story
第14章 いつまでも、幸せに
「……!」
平屋の幼稚園から、聞こえてきた優しい音色。
ガラスの扉と窓、白いカーテンも閉じられていて
人の姿は見えないけど……確かにその音は建物から響いている。
「ピアノの音……」
風に乗って広がる、優しい旋律。
幼い頃、どこかで聞いたことがあるような
みんなで手を叩いて歌ったことのあるような、体に染み渡る懐かしいメロディー。
……ドキンと心臓が跳ねて、思わず足が一歩前に出た。
「……!」
繋いだままの手が、後ろで止まったことに気付く。
……歩き出そうとした私と、立ち尽くしたままの秋。
「……っ」
振り返って見上げた表情を見て、気付いた。
理由は分からないけど、私も不思議とそんな気がしたの。
……ねぇ、秋
今、私達は同時に同じことが頭に浮かんだよね……
「……いいって。
きっと覚えてねぇよ」
ふと目を逸らした秋が、小さくそう言ったけど
……握られた手の強さから、気持ちが伝わってきて胸が締め付けられる。
もしかしたら、違うかもしれない。
休園日に他の業務をしている、保育士さんかもしれない。
……それでも……