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アンケートから生まれた Love story
第14章 いつまでも、幸せに
「中には入れないと思うから。
……そっと外から聞くだけでも……ね?」
ゆっくりと、優しい力で秋の手を両手で包むと
白いスニーカーが半歩だけ前に出された。
……ドキドキと鼓動が大きくなる。
正面の門から離れて、少し先に進んで
砂浜を踏みしめながら、囲まれた垣根に沿って進んでいく。
「……!」
角を曲がると、クスノキの木の影が出来ていて
建物の裏側に回ったその先に……正面と同じ小さな引き扉があった。
「……っ」
この位置からでも、扉が開いていることには気付いたから
……足が止まりそうになったけど、秋と一緒にゆっくり近付いていく。
─── 木漏れ日がキラキラと輝いている
裏門の前に立つと、開かれた扉の先に
ウッドデッキのテラスが付いた教室が見えて
……窓のすぐ傍に置かれた1台のピアノ
鍵盤に手を乗せた、椅子に座った女性の後ろ姿
優しい潮風が、私と秋の背中を押した。