この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンケートから生まれた Love story
第4章 マドンナ
……普段の俺なら
何が起きても聞いても、思考が停止することは無い。
冷静に判断するし、物事を理解する速度も速い。
それなのに
スマホを持ったままフリーズした右手が、動かない。
『あたしは噂レベルで知ってる程度で、在学中に話したことなんて無いしさ。
遠巻きに見ててもミステリアスな雰囲気があって、綺麗な人だったよねー』
「………」
『来るもの拒まず遊びまくってたあんたでも
流石に手を出すなんて出来なかったんじゃないの〜?』
「………」
『そもそもなんで調べたかっていうとさ。
マドンナのこと知ってるかって突然蓮から電話来て。
早くヒメに連絡取れってだけ言われて切られて今に至るわけ……、っておい、聞いてる?』
ヒカルの声は聞こえてるし
すぐ傍で不思議そうに俺を見る美和の視線にも気付いてる。
だけど
高嶺の花、マドンナのことは
正直、卒業してからの9年間で思い出すことはなかったのに
‟ ……とりあえず、うちに来て? ”
・・・今、ハッキリと浮かんだあの光景。
俺の手からスマホが滑り落ちた。