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第5章 スコール

　

・・・海外ドラマか何かですかこれは。


不安にさせない
味方なんだって……

容姿も何も分からない、正体不明な男だというのに
このイケメンボイスによって、自分がまるでヒロインかのような錯覚に陥ってしまう。


『あんたが何かの悩みや迷いを抱えていても
俺は今回指名された立場じゃねぇから、直接助けてやることは出来ないけど』


次から次へと、舞台台詞のようなパワーワード。


『俺が信頼している男の、お墨付きだから。
心配しないで頼っていいよ』

「……は、はぁ…」

『もしそれでも解決しなければ、最後は ‟ 俺達 ” も協力する』


……オレ達？　
ダレ達？
他にも誰かいらっしゃるの？

しがないアラサー後半OLの、個人的な悩みなのに
一大プロジェクトみたいな空気を感じるのはなぜだろう。
　

「……」


……えっと

相手が誰かも、今のところまったく分からないけど


「……ありがとう、ございます」

『……！』

「どなたかは存じ上げませんが
素敵なお声で、私なんかに応援のようなメッセージを届けてくださって
心より感謝いたします」