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アンケートから生まれた Love story
第5章 スコール
精一杯の笑顔を作ってそう告げたのに
目の前の彼は、どこか悲しげな表情をしている。
悲しいっていうより、哀れに見えるのかもしれない。
「ごめんなさい、暗い話し方しちゃって。
それになんだか空も……」
パラソルの下から身を乗り出すと
黒い雨雲が東の方から広がり始めていた。
「……盗まれた、金の話だけど」
ソファ席に寄りかかって、彼が静かに口を開いた。
「元婚約者の名前や勤務先。
メールや連絡先の履歴とか、形跡はいくつか残ってるだろ?」
「……えぇ」
「これでも割と顔広い方なんだ。
あんたが専門機関に行くのに躊躇いがあるなら、まずは身近で出来ることから進めてもいい」
「………」
「始めに言った通り、もう少し詳しく説明してもらう必要はあるけど」
丁寧に話してくれているのに、顔を上げることができない。
……なにしてるんだろ、私。
本当に恥ずかしいな。