この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンケートから生まれた Love story
第5章 スコール
「はぁ…っ」
雨から逃れるように無心で走っていたら、駅とは反対方向に来てしまっていた。
昔から残っている赤煉瓦の壁。
今は歴史博物館となっているけど、改修工事中で閉まっている。
……土砂降りのスコールの早さには敵わなかった。
裏側の入り口、木扉の前。
少しだけ屋根のあった場所に立って、濡れた髪をかき分ける。
同じように走って、別の建物の中へと急ぐ人達。
地面を叩きつける大雨で、シルエットしか見えない。
「………」
── ずっと言いつけを守ってきたけど
私の人生、ちっとも思うようにいかない。
計算して進むほど簡単じゃないって分かっているけど
20代後半で、適切な相手を見つけて籍を入れているはずだった。
既に相当な遅れを取ってしまっている。
悩んでも迷っても、進まなきゃいけないのに……
“ 俺が知りたい理由は、そんなしょうもねぇ一般論じゃなくて ”
“ あんたが結婚に求めるものは何かって聞いてる。
結婚して、どうしたいわけ? ”
……だから、それは
女性として生まれたからには、幸せになりたいって思うからよ
いつかきっと、幸せになる為に……
「……私の
幸せって、なに?」