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アンケートから生まれた Love story
第5章 スコール
「……おい」
低い声で、沈黙を先に破ってくれたのは彼だった。
私も何か言わなきゃ。
でも何て言う?
まずは謝るべきよね?
「た、高野さ…」
「あんたさっき信号無視しただろ!」
「……!!」
「ビビらせんなよ!」
雨の音も消えるくらい、怒号が飛んできて
衝撃で全身がピシッと固まる。
・・・し、信号無視……
どこ? どの辺で?
まさか車道で?
自分の危険な行動に言葉を失うと
私の手首を持ったまま、彼が大きく息を吐いた。
「土砂降りで視界が悪い中でも
この赤い服だけが、異様なスピードで角を曲がったのが見えた」
「……!」
「なんでヒールのある靴で爆走できるわけ。
元陸上部?」
「……」
「尊敬するわ」
尊敬するといった顔はどう見ても呆れている。
ようやく離した手で、濡れた髪を後ろに流す彼。
……状況の整理がまだ出来ていないけど
やってしまった
失態を晒してしまった
まさか、追いかけさせてしまうなんて……