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第5章 あめがふる

撮影は、とても順調に進みました。
カメラマンの女性は、撮影しながら小夜に優しく声をかけてくれて、おかげで小夜は緊張しませんでした。

バラの花を背景に、お兄さまに見つめられながら、小夜の写真がたくさん撮られていきました。

小夜は……お兄さまにかけられた言葉がうれしくて、火照ったような気持ちでいました。


美しいワンピース、
心地のいいお風呂、
みずみずしいバラの花々、
そして
優しいお兄さま……


何もかもが夢のようで、
小夜は本当に、何ひとつ汚れを知らない少女に戻れたようで、
とてもしあわせな心地でいました。

カメラマンの女性が仕事を終えて立ち去り、あずまやに小夜とお兄さまだけが残りました。

お兄さまは小夜を抱き寄せて、優しく抱きしめてくれました。