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飛べないあの子
第6章 番外編Ⅰ
風呂から上がり、浴衣姿で館内を散策して部屋に戻ってくると、船盛付きの豪華な食事が用意されていた。
凛が楽しみにしていた地酒と共に二人でゆっくりと食事を楽しむ。

慧はガラス製のお猪口を手にしながら微笑み、凛をじっと見つめた。
浴衣に羽織姿の凛が新鮮だったのもあるが、先ほど風呂から上がる時、慧は凛に下着を着けないようお願いしたからだ。
凛は激しく抵抗し、ブラジャーはしないから下は履かせてくれと懇願した。
浴衣の中のきれいな形の凛の胸を想像する。
すぐにでも浴衣を脱がして凛の体を味わいたい。
酒が入って理性を保つのが難しくなってきた。

「あ、そうだ」

凛は自分の旅行バッグから何かを取り出して慧の横に座ると、ハイブランドの手提げサイズの紙袋を手渡した。

「これ・・・・・良かったら使ってくれる?」
「何?」
「合格のお祝い。気に入るかどうか自信ないんだけど・・・・・」
「開けていい?」
「うん」

質の良いケースを開けると、レザーのペンケースが入っていた。
凛が自分よりもずっと合格を喜んでくれていることはわかっていたが、忙しい中でもこうしてプレゼントを考えて用意してくれていたことが、慧を大切に想っている証に感じて胸が熱くなった。

「ありがとう・・・・・・」
「学校で使ってくれる?」
「もちろん。大事にするよ。ありがとう」

凛は嬉しそうに微笑むと、日本酒の瓶を持って慧のお猪口に酒を注いだ。

「学校、楽しみだね。いいなぁ。また学生生活できるの」
「みんなずっと年下だよ。馴染める気がしない。まあ、馴染めなくても別にいいけど」
「・・・・・・・・」

凛がふと黙り込んだ。

「何?」
「いやー・・・・・医学部生の西辻くんは、さぞかしモテるだろうなと、今更ながら・・・・・・」
「モテないよ。さっきも言ったけど、俺なんてみんなよりずっと年上なんだから対象外だよ」
「西辻くんの場合、年は関係ないかと・・・・・」
「心配?」
「・・・・・・うん」

凛の不安を聞いて嬉しくなっている自分がいる。
凛の手を取って顔を覗き込む。

「俺がどこかに行っても、もうかすり傷で済まなくなった?」

凛が一瞬言葉に詰まった。
かつて慧が他の女性のところにいっても傷が浅く済むと言った話を思い出したようだった。

「そんなの・・・・・・致命傷だよ。ずっと前から・・・・・・」
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