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飛べないあの子
第1章 再会
「・・・・・・・西辻先生・・・・・・」
「一緒に駅まで帰りましょう」
「・・・・・・・・・」
「すみません。迷惑でした?」
「いえ・・・・・・。みなさんと飲みに行ったのかと思っていたので・・・・・・」
慧は行きましょうと歩き出した。
凛は慧から距離を取って歩き出した。
「・・・・・・・中谷先生、やっぱり俺たち会ったことありますよね?」
「なぜそう思うんですか?」
「だって、先生、俺とだけ目合わせてくれないから。それはそれは不自然なほどに」
そう言われてハッとして足を止めた。
慧も立ち止まって振り返った。
凛はゆっくりと顔を上げて慧を見る。
「やっと見てくれた」
そこにはあの頃の面影を残したまま大人になった慧がいた。
切れ長の目は、大人になって色気が追加されて、よりいっそう慧の美しさを演出している。
「すごくイヤそうな顔。やっぱり、俺の事嫌いなんですね」
慧は涼しげな表情で微笑んでいた。
凛は黙って歩き出した。
慧が凛を追い越して、前に立ちはだかった。
「高校の同級生だったんですね。すみません。覚えてなくて」
「・・・・・・・・・」
「どこかで見たことがある気がして。中学か高校かなと思って、卒業アルバム見てみたんです」
「そうですか」
「中谷先生は覚えていてくれたんですね。俺のこと」
忘れるわけがない、と言おうとしてやめた。
まるで、かつてあなたが好きでしたと告白するみたいだと思ったからだ。
「あの頃は少々尖ってましたからね。今思うと恥ずかしいですが、まあ、若気の至りです」
凛は慧の目をじっと見つめた。
慧の目的がわからなかった。
職場で高校時代の話をしないで欲しいということだろうかと勝手に解釈した。
「ご安心ください。西辻先生の昔の話を誰かにするつもりなどありません」
凛はそう言うと慧の横を通り過ぎようとした。
慧が咄嗟に凛の手を掴む。
強い力に凛は顔をしかめた。
「気に入らないなぁ」
慧は微笑んでいるが目が笑っていない。
「一緒に駅まで帰りましょう」
「・・・・・・・・・」
「すみません。迷惑でした?」
「いえ・・・・・・。みなさんと飲みに行ったのかと思っていたので・・・・・・」
慧は行きましょうと歩き出した。
凛は慧から距離を取って歩き出した。
「・・・・・・・中谷先生、やっぱり俺たち会ったことありますよね?」
「なぜそう思うんですか?」
「だって、先生、俺とだけ目合わせてくれないから。それはそれは不自然なほどに」
そう言われてハッとして足を止めた。
慧も立ち止まって振り返った。
凛はゆっくりと顔を上げて慧を見る。
「やっと見てくれた」
そこにはあの頃の面影を残したまま大人になった慧がいた。
切れ長の目は、大人になって色気が追加されて、よりいっそう慧の美しさを演出している。
「すごくイヤそうな顔。やっぱり、俺の事嫌いなんですね」
慧は涼しげな表情で微笑んでいた。
凛は黙って歩き出した。
慧が凛を追い越して、前に立ちはだかった。
「高校の同級生だったんですね。すみません。覚えてなくて」
「・・・・・・・・・」
「どこかで見たことがある気がして。中学か高校かなと思って、卒業アルバム見てみたんです」
「そうですか」
「中谷先生は覚えていてくれたんですね。俺のこと」
忘れるわけがない、と言おうとしてやめた。
まるで、かつてあなたが好きでしたと告白するみたいだと思ったからだ。
「あの頃は少々尖ってましたからね。今思うと恥ずかしいですが、まあ、若気の至りです」
凛は慧の目をじっと見つめた。
慧の目的がわからなかった。
職場で高校時代の話をしないで欲しいということだろうかと勝手に解釈した。
「ご安心ください。西辻先生の昔の話を誰かにするつもりなどありません」
凛はそう言うと慧の横を通り過ぎようとした。
慧が咄嗟に凛の手を掴む。
強い力に凛は顔をしかめた。
「気に入らないなぁ」
慧は微笑んでいるが目が笑っていない。