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飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
「じゃあ、続きできる?」
「・・・・・・・」
「ほら」

慧はゴロンと床に寝ころんだ。

「あーあ」

凛は体育座りで慧を見下ろした。

「もう二度と預からない」

慧は目を瞑って不貞腐れている。

「餌やる時に脱走してさ。捕まえるの大変で。汗かいた上に何故か目がかゆくなってきたから風呂に入ったというわけ」
「・・・・・・アレルギーかな」
「かもしれない」

凛は脱走したハムスターを必死に捕まえようとする慧を想像してクスクスと笑った。

慧は手を伸ばして凛の髪の先を指で弄った。

「・・・・・・さっきの、演技じゃないよね?」
「・・・・・・・うん」
「何かあった?すごいドキっとしたんだけど」
「いえ・・・・・・。湯上りの西辻くんにムラムラしただけです・・・・・・」

慧は、ふーん・・・・・・と呟いた。

「中谷さんもそういうことあるんだね」
「あるよ」
「マッチョで毛深くなくても?」
「・・・・・・・・・」

あの女子生徒たちはわざわざ慧に報告しに行ったようだった。

確かに凛はもともと慧のような綺麗な男性よりも、男くさいような男性が好みだった。
それもあって、多少の気まずさを感じて慧から目を反らした。

「あれは・・・・・・あの子たちが私たちのこと疑ってたから誤魔化しただけだよ」
「そう?」

慧が凛の腕を引いて横になったまま胸に抱きしめた。
慧の胸に顔を乗せる。心臓の音に耳を澄ます。

「・・・・・・あんまり意地悪したり、不安にさせたりしないで。俺、君が思ってるほど自分に自信ないよ」
「ごめん・・・・・・」

慧は凛を抱きしめたまま上体をわずかに起こして、ゴロンと体勢を変えた。
凛に覆いかぶさってキスする。

チュ・・・・・チュ・・・・・・・

慧の舌が入り込んでくると同時に、今度はガサガサガサという音が聞こえてきた。
ケージを見るとハムスターが床材を一生懸命掘っている。

二人で顔を見合わせて笑った。
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