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飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
あの柔らかそうな耳にどうしても触れたくて、キスしながら耳たぶを指先で優しく挟んで軽く引っ張ったり撫でたりする。
その手触りは極上の感触で、いつまでも愛でていたい気持ちにさせた。

慧は一瞬怯んでいたが、すぐに凛の意思を汲み取って、凛の上半身をぎゅっと抱きしめた。

凛は慧の舌に舌を這わせた。慧の口内も普段より暖かく柔らかな気がする。

「ん・・・・・・」

慧の吐息に凛の官能が刺激される。

(どうしよう・・・・・もっと触りたくなってきてしまった・・・・・・)

慧の方も凛のいつもと違う様子に気が付いたのか、シャツの中に手を入れてきた。
慧の親指が肋骨に触れてドキリとする。

凛もそっと慧のTシャツの中に手を入れて、背中に触れてみる。
滑らかな肌の感触を指先に感じて、凛の気持ちが更に高ぶる。

好きだと言ってしまおうか・・・・・と思った時だった。

何やら奇妙な音が聞こえた。

カラカラカラ・・・・・・・・

「・・・・・・・・?」

凛は動きを止めて慧を見た。
慧は目を細めてものすごくイヤそうな顔をしている。

音は止まらない。凛はどこから聞こえてくるのか耳を澄ませた。

慧が、はあーッと大きなため息をついた。

「もー・・・・・!」

慧は凛の手を引いてリビングの手前の部屋に案内した。
家具も何もない部屋の片隅にケージがあり、そこでハムスターが一生懸命回し車の中で走っていた。

「・・・・・・ハムスター!?」

凛は大喜びでケージに近づいてしゃがみこんだ。

「友人に旅行の間預かって欲しいって言われて」

慧が不貞腐れた様子で言った。

「かわいい・・・・・・!」

慧が凛の横に並んで座る。

「名前はなんていうの?」
「知らない」
「名前くらい聞けばいいのに」

凛は首を傾げて茶色と白の毛色が混ざったハムスターを見た。
愛らしさに思わず笑みが浮かぶ。

ハムスターに夢中の凛の肩を慧が抱いてきた。
慧に触れられて、凛はハムスターのおかげで先ほどの興奮がすっかり冷めてしまったことに気が付く。

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

慧にもそれが伝わったようで、凛の肩から手を離してハムスターを睨みつけた。

「こいつのせいで、人生最大のチャンスを逃した・・・・・・」
「そんなこと言ったらだめ。この子は何も悪くないよ」

慧がズイ・・・・・と顔を寄せる。
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