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飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
威勢良く引き返してきたものの、慧のマンションに着く頃には落ち着きを取り戻していた。
慧は電話に出ず、かけ直してもこないことが不安だった。
ここまで来ておきながら怯み始めていた。

時計を見ると二十一時を過ぎていた。
一度押して出なかったら大人しく帰ろうと決めてインターフォンを押す。
少しの間おいて、慧が出た。
すぐに耳にがやがやと騒がしい話声が入ってきた。
ピザかー?という声が聞こえる。どうやら複数の人が訪れているようだった。

(あ・・・・・・!友達来てるんだ・・・・・・!)

「・・・・・・中谷さん?どうして・・・・・・」
「・・・・・・ご、ごめん。あの・・・・・・・」

凛は恥ずかしくなって、しどろもどろになった。
慧が一人でさびしく過ごしていると勝手に決め付けて、勢いでここまで来てしまった。

冷静に考えたら友人と過ごしているという可能性も想像できたのに・・・・・・。

「待って・・・・・!すぐ行くから。ちょっと待ってて・・・・・!」

プツっと音声が切れる。
凛は自分の考えなしの行動によって、慧に迷惑をかけてしまうと取り乱した。

(何やってんだろ、私・・・・・・。どうせ二日に会えるのに・・・・・・・)

心は乱れていたが、そんな中でもとりあえず慧が一人寂しく過ごしていたわけじゃなくて良かったと思った。
おそらく夜通し飲んだりするのだろう。顔を見たら帰ろうと決めて心を落ち着かせる。

慧がすぐにエントランスにやってきた。

「中谷さん・・・・・・!」
「ごめん、お友達が来てると思わなくて・・・・・・」

慧は凛に近寄ると無言でぎゅっと抱きしめた。
なんだか、慧がずっと自分のことを待っていてくれたような気がして胸が締め付けられる。

凛は説明しようとするが、上手く言葉が出てこなかった。

「あの・・・・・・。実家に帰って姉たちと、その・・・・・・ちょっと高級な中華料理屋さんに行ったんだけど、そこで西辻くんのご家族を見かけて・・・・・・。なんだか・・・・・・なんだか西辻くんが一人で大晦日を過ごしてたらと思うと、いてもたってもいられなくて・・・・・・・」

そこまで言って涙が滲んだ。
あの時感じた孤独感を思い出していた。
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