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ごっこから何が生まれるのか
第2章 恋人ごっこ。
「いや、男同士のキスとか端から見たらアレかな。とかどうでもいい事ですよ。気にしないでください」
「楽しまなきゃ」そりゃそうだよな。次があるかどうか分からないんだし、気まぐれでも恋人ごっこをし年甲斐もなくイチャイチャなんて美味しい思いさせてもらってるんだから。
「端からみたらですか?」彼も少し眉間に皺を寄せて、考える素振りをして見せた。それは深刻というより、言葉を探している様だった。
腰に巻いたバスタオルを巻き直し立ち上がる彼は、俺の煙草を手に取ると渡してきた。渡されたからとりあえず吸ってみる。落ち着けって事か?なんて煙とともにモヤモヤを吐き出すべく深く吐く。
「文弥は綺麗だよ」不意に放たれた言葉に
「可愛いとも思いますけど」目を細め笑みを向けられ
「辛いと言えば辛いかな」また微かに眉間に皺を寄せ
「だって抑えるの大変なんですから」と。
スマホを渡され画面に目をやると、俺が煙を吐く横顔が移されていた。「思わず隠し撮りしたくて」といたずらっ子の様に笑った。
「これも恋人だったらするでしょ?恋人の隠し撮り写メくらい普通持ってますよね」
スマホには「保存しますか?」と出ている。心の声は自然と声になって出てしまっていた。「保存するんですか?」と
「勿論ですよ。消すなんて勿体ない」と躊躇する事なく画面に出る「はい」を軽快にタップしていた。その行動を眺める俺の顔は撮られていなくて良かったと思う。だってそうだろ?こんなに緩んでるんだから。