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寵愛の小鳥
第10章 告白

「んんんー!」

ベッドに顔をうずめながら
じたばたと足を動かして考えを払いのけると同時に、
コンコンとドアがノックされた。

「ことり、入って良いか?」

控えめな声で訪ねられたお兄ちゃんの声に、
またドキッとして、
頭を慌てて振ってから「うん」と短く応える。


それから少しして、ガチャ…と扉が開く。

寝転がってるのも変なので、
ベッドの端の方に座ってお兄ちゃんを見上げる。

「ことり、もう、平気か?」

体調がなのか、思考が落ち着いたかってことなのかも判断できなかったけれど、お兄ちゃんと話さなきゃ、何も進まないもん、こくりと頷く。

「…わかんない、けど、いいよ、話し合い、しよ」
「…あぁ」

お兄ちゃんがベッドから少し離れた椅子に腰掛けてから、少し時間が経った。

ずっとお互い沈黙で、
私から話すのも気が引けるから、
お兄ちゃんが話し出すのを待ってる。

「…ごめん。ことりに最低なことした。
解ってると思うけど、
あれは…ことりの事を犯したのは、俺だ」

すっと立ち上がって、頭を下げてから簡潔に謝り出すお兄ちゃんを見て、さっきまで盛り上がっていた自分の心がヒュッと冷える。

「謝っても許されない事だって解ってるし、
ことりが望むならもうことりに近づかないしことりに今後一切触れない」

ハッキリと言い放つお兄ちゃんの声に、じわじわと不満や怒りが沸き上がる。

なんで、今まで、仲良くできてて、
こんな、急に襲われたのか、理解できなくて、こんな事がなければ私とお兄ちゃんの関係だって、崩れなかったのに…。

だいたい、私に触れないって決意ができる程度なのに、なんで無理やりされたの??

「…でも、ことりに最低で自分勝手なお願いがある。
俺のことを許さないでほしいし、俺がことりの初めてを奪った事を、忘れないで欲しいんだ」

な、最低だろ。と自嘲気味に笑うお兄ちゃんに胸がもやもやする。
言いたいことが多過ぎて、
うつむいた私の頭にお兄ちゃんの声が続く。

「ごめんなことり…
俺な、ことりの事、愛してるんだ。誰よりも好きなんだ。妹を愛でたくて…抱きたくて、仕方なかったんだ」

パッと見上げたお兄ちゃんの瞳はまっすぐ私の瞳にぶつかった。
真剣で、曇りの無いお兄ちゃんの表情に、視界がぼやけて、雫がこぼれる。
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