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寵愛の小鳥
第11章 夜明け by悠月
「ん…」
ふわりと和食系の良い香りがして、目が覚める。
「…あ、起きた…?」
俺がことりに絶対似合うと思って買っておいた
エプロンをつけたことりがキッチンから振り向いて声をかけてくる。
少しはにかんだ表情が、
朝日に照らされて眩しい。
「…夢か…最高だな…」
ぼんやりとつぶやいた俺の言葉に
ことりが苦笑いを浮かべて近寄ってくる。
「…寝ぼけてるの?お兄ちゃん?」
小首をかしげて訊ねてくることりが可愛くて、
朝から幸せだなぁと噛み締める。
良い夢だな。本当に。
せっかくの夢ならもっと贅沢してもいいだろ?
そんな邪な考えを浮かばせながら、
ことりを手招きする。
「…?なぁに?」
きょとんとしながら近寄ってくることり、
その腕を引っ張って、
ソファベッドに抱きしめながら寝転がる。
「きゃぁっ…ちょ、お兄ちゃん??」
びっくりしながら固まったことりは
頬を赤くしながら俺をそっと見上げる。
「これ以上しないから…もう少しだけ…このままで…」
現実でこんなにイチャつければ。
昨日散々な事をした俺の事なんて、
きっとことり(本物)は真っ青になって逃げだすに決まってる。
だから、夢でくらい幸せを感じさせてくれ。
そう思いながら囁くように言った俺に、
ことりは真っ赤にしながらうつむいた。
「……ちょっとだけなら…いいよ…」
ことりがつぶやくように小さい声で言ったのを聞きながら、心の奥がじんわり熱くなってくのを感じ、
そっと目を瞑る。
俺より随分速いことりの鼓動が可愛くて愛おしい。
ことりの体温が熱くて心地いい。
胸元に当たる熱い吐息。
……。
これ、本当に夢か…?
「………なぁ、ことり」
「…ん」
「おはよう…?」
「…うん…おはよ…」
これ、現実だな。
というか、
「……オマエ、熱無いか?」
「…ん…?」