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寵愛の小鳥
第12章 嘘から出た真…
「ま、でも熱も下がったみたいだからちゃんと送るよ、準備してな」

少し残念そうに笑いながら言うお兄ちゃんに何ともいえない気持ちになりつつ頷いて、帰る準備をする。

明日も平日だし…帰らないとだもんね。
…そもそも来週テストだし!

一気に現実に戻された気がして背筋が伸びる。

「うわぁ…勉強しなきゃっ」
「ん??」

お兄ちゃんの車に乗りながら慌ててテスト範囲を確認する。

「来週テストだったの…だから部活なくて帰り早かったんだよね」
「あー、そういやそんな時期かぁ…ことりは自信ないのか?」
「んー…一応予習復習はしてるけど…念のため…?」
「はは、そっか、ことりは偉いな」

左手を一瞬だけ離し、頭を二回ぽんぽんと撫でられ、子供扱いされたみたいなくすぐったさを感じる。

「そんなことないよ…おにぃちゃんいつも成績良かったじゃない…」

「んー?まぁ、俺は勉強好きじゃなかったから必死だったなぁ…体動かす方が全然楽しい」
「えぇ…?そうだったの??…の、わりに成績良いの!?」

むーっと眉間にしわを寄せながら聞くと、お兄ちゃんはまた笑う。

「まぁな、ほら、家庭教師のヒカリセンセに中学の終わりから来てもらってただろ?アレのお陰でやっと成績良くなってた」
「…あ、あー…ヒカリセンセ…」

覚えてないわけじゃない。
ただ、ヒカリセンセはどう見てもお兄ちゃんに気があった…。

お兄ちゃんが中学3年の時だから、私が小学校4年生の時、かな?

急に現れた美人なお姉さんは当時大学1年の藤堂ひかり先生で、壁越しにお兄ちゃんとひかり先生が(今思えば)イロイロなベンキョウをしてる声を聞いた記憶がある。
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