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寵愛の小鳥
第12章 嘘から出た真…
そういう行為に疎い私でも、
時々壁の向こうの声にドキドキしたから、
たぶん、お兄ちゃんの初めての彼女がひかり先生なんじゃないかな…。
「ことり??どーした?」
「ひゃっ」
急に声をかけられてビクッと肩が震えた。
「驚かせたか?ごめん、でも急に固まったからどうしたかなって」
「え…あ、あは、な、何でもないよ…?」
顔が急に熱くなって、心臓もドキドキ言ってる。
お兄ちゃんの顔を見られなくてうつむくと、お兄ちゃんがそっと片手で顎を持ち上げる。
「…ぁっ…」
優しく、でも少し強引に視線を誘導され、お兄ちゃんと目が合うと、どうしたらいいかわからなくなってしまう。
「ん…?どうした?ことり、照れてる?」
お兄ちゃんの瞳の奥に仄暗い熱を感じる。
「や…ちが…」
その瞳から視線をそらせなくて、視界が少し潤む。
「緊張してる?それとも…欲情、かな?」
やけに艶っぽい声と唇を視界に捉えて、その、お兄ちゃんの言葉にぞくん、と身体が熱を持つ。
「…っ!…っな、何、言ってるの、お兄ちゃんっ」
視線がそらせないまま、お兄ちゃんに言い返すけど、お兄ちゃんはもう、私の変化に気づいてる。
「く、車!動かさなくて、平気!?」
誤魔化すみたいにバッと顔を逸らして外を見ると、家から少し離れた川沿いの公園に止まってた。
「ん。動かさなくて平気だろ?」
ガラス越しににやりと笑ったお兄ちゃんの表情を見て、ぶるりと身体が震えた。
その震えが、恐怖からか、期待からかは、わからなかった。