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二人の彼に囚われて【目覚め】~偽りの花嫁は真実の恋を知る~
第6章 【めざめ~偽りの花嫁は真実の恋を知る~】(後編)
************本文から抜粋**************
「殿下、怒らないで下さいね」
唐突な言葉に、王は愕いているようだ。
「私、もう駄目だと死を覚悟した時、残してゆく人たちのことを考えました」
「ー」
王は何も言わない。ミナは静かに続けた。
「父や生まれたときから側にいてくれた乳母、家族の顔を次々に思い出しました。でも、一番最後に浮かんでずっと消えなかったのは、殿下のお顔だったんです」
ミナは小さく息を吸い込み続けた。
「殿下はご不快な話だと思います。でも、王宮を去る前に、自分の気持ちだけはきちんとお伝えしておきたい。本当は黙ってお暇を頂くつもりでしたけど、こうして吹雪の中で出会えたのも、気持ちだけはちゃんと伝えなさいと仏さまが背中を押して下っているように思えました」
「ミナ、それは」
王の声がかすかに戦慄(わなな)いた。
ミナは眼を閉じ、ひと息に言った。
「殿下をお慕いしています」
刹那、王が息を呑むのが判った。
「自分でもいつからかは判りません。自分はずっとテギルを好きなのだと思っていました。でも、殿下と出逢ってから、どんどんテギルより殿下の存在が大きくなってゆきました。気がついたら、心からお慕いしているのはテギルではなく殿下だと気づいたんです。どれだけ罪深い身勝手なことを言っているのかという自覚はあるのに」
「ミナは王宮を出てゆくつもりなのか?」
「殿下、怒らないで下さいね」
唐突な言葉に、王は愕いているようだ。
「私、もう駄目だと死を覚悟した時、残してゆく人たちのことを考えました」
「ー」
王は何も言わない。ミナは静かに続けた。
「父や生まれたときから側にいてくれた乳母、家族の顔を次々に思い出しました。でも、一番最後に浮かんでずっと消えなかったのは、殿下のお顔だったんです」
ミナは小さく息を吸い込み続けた。
「殿下はご不快な話だと思います。でも、王宮を去る前に、自分の気持ちだけはきちんとお伝えしておきたい。本当は黙ってお暇を頂くつもりでしたけど、こうして吹雪の中で出会えたのも、気持ちだけはちゃんと伝えなさいと仏さまが背中を押して下っているように思えました」
「ミナ、それは」
王の声がかすかに戦慄(わなな)いた。
ミナは眼を閉じ、ひと息に言った。
「殿下をお慕いしています」
刹那、王が息を呑むのが判った。
「自分でもいつからかは判りません。自分はずっとテギルを好きなのだと思っていました。でも、殿下と出逢ってから、どんどんテギルより殿下の存在が大きくなってゆきました。気がついたら、心からお慕いしているのはテギルではなく殿下だと気づいたんです。どれだけ罪深い身勝手なことを言っているのかという自覚はあるのに」
「ミナは王宮を出てゆくつもりなのか?」