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第1章 ありがとう
私がひょんなことから、この家に住み始めて三年。
高校卒業と大学進学という、大きな人生のターニングポイントを通過した。
二十歳になった今も、この《雑賀》という家を代理で管理している。
初めてこの雑賀家にやってきたのは、十七歳の時。
私は親の借金でこの家に売られてきたのだ。21世紀にもなって日本国内でも人身売買があるとは、当時の私でも驚き、そして呆れたものだった。
その時、私を愛玩とする筈だった雑賀の女当主は事故死した直後だった。
次期当主の当時二十二歳だった一人娘は、バンドマンを夢見て挫折しかけて自暴自棄になっていた。
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