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第1章 ありがとう

シャワーを浴び、座敷に布団を敷いて、私は彼女を待つ。
彼女……あの捻くれ者の酒豪、雑賀あたるが三年ぶりにこの町へ帰ってきた。
この三年間、私もあたるも、彼女の叔父の保護下にあった。彼がいなかったら、私たちの人生は破綻していたと言っても過言ではない。
私は何かにつけて当たり散らしてくるあたると何度も衝突したが、類稀なるギターの才能を持ち、旧家のしがらみを嫌いバンドマンの夢を追う彼女に惹かれ、次第に女性として好きになっていた。