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MOTHER(マザー)
第1章 MOTHER(マザー)


時は流れて…2012年夏…

多賀家の家族は、どうにか平穏に暮らしていた。

そんな一家に、再び魔の手が忍び寄った。

時は、8月3日の朝7時半頃であった。

場所は、直也の家の玄関の前にて…

家の前に浩文が運転する白のラウム(ミニバン)が停まっている。

直也は、ブゼンとした表情で車に乗り込んだ。

その後、家の中から浩文と由宇加が出てきた。

ふたりは、今度の日曜日のカラオケ発表会のことを話している。

「あなた。」
「由宇加。」
「あさっての日曜日は(竜太の知人さん)が出場するカラオケ発表会ねえ。」
「そうだね…たしか、午後の部に出場するみたいね。」
「うん。」
「それじゃあ、行ってくるよ。」
「気をつけてね。」

車に乗り込んだ浩文は、エンジンをかけて家から出発した。

それから60分後にしえ夫婦が家から出発した。

しえ夫婦は、地区の公民館で開かれる句会に出席する予定である。

由宇加は、家でお留守番をする。

この時、家のすぐ近くの電柱の陰で菜水孝二母子がひそんでいた。

菜水は孝二に由宇加からカネをたかってこいと命じた。
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