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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第24章 【第二十四話】巻き込む魔王さま
セラフィーナは首を傾げ、アーベルを見た。
「ん? ルードが魔王になったから?」
ルードヴィグは先代魔王に指名されて魔王になったが、アーベルはいわば普通の文官だ。しかもルードヴィグが魔王に指名されたときは文官になったばかりで……。それがなぜ、今ではルードヴィグの右腕になっているのか。
「巻き込まれたんですよ」
「巻き込まれた?」
「そこのルードヴィグに」
「周りは敵か味方か分からない、いや、むしろ敵しかいないと考えたほうがいい状況だったんだ。幸いにもアーベルは成績はよかったからな、俺の要望は受け入れられた」
セラフィーナもいわば巻き込まれたようなものだし、ルードヴィグは周りを巻き込むのが上手いのかもしれない。
「ルード、ズルい」
「なにがだ」
「人を巻き込みすぎ」
そういえば、エドヴァルドとレンナントも言いくるめられたような形でセラフィーナの母である王妃の元へと行かされた。
「武官のくせに口が上手いんですよ、そこの男は」
「ん」
「人を筋肉馬鹿みたいに言うな。それに、戦わないで済むならそれが一番いい」
それはもっともだが、ルードヴィグが言うと違和感が半端ない。
「殺す?」
「こら、セラフィーナ。物騒なことを言わない」
「セラさまのほうがよほど魔王っぽいですよね」
「やはりアーベルもそう思うか」
「私は魔王は無理」
「そんなことないぞ。セラが俺にこうしろと命令すれば、俺はそれを実行する」
「……それだとあの人と一緒。いや」
「王妃か」
それからルードヴィグは大きなため息を吐き、セラフィーナを見た。
「エドヴァルドとレンナントだが、無事に偽侍女と合流できたようだ」
「ん」
「その三人と俺の部下は移動魔法で王国に戻り、王妃に謁見を求めているところらしい」
「早い」
「俺の部下が優秀だからな」
「ん」
でも、とセラフィーナは思う。
エドヴァルドとレンナントが本当に叛意を翻したらどうしよう、と。
セラフィーナが難しい顔をしていることに気がついたルードヴィグは、セラフィーナの頭を撫でた。
「あの二人が心配か?」
「んー」
その心配もあるが、今ひとつ人を信じることができないセラフィーナは二人の挙動が気になる。
「そう簡単に二人はやられない」
「ん? ルードが魔王になったから?」
ルードヴィグは先代魔王に指名されて魔王になったが、アーベルはいわば普通の文官だ。しかもルードヴィグが魔王に指名されたときは文官になったばかりで……。それがなぜ、今ではルードヴィグの右腕になっているのか。
「巻き込まれたんですよ」
「巻き込まれた?」
「そこのルードヴィグに」
「周りは敵か味方か分からない、いや、むしろ敵しかいないと考えたほうがいい状況だったんだ。幸いにもアーベルは成績はよかったからな、俺の要望は受け入れられた」
セラフィーナもいわば巻き込まれたようなものだし、ルードヴィグは周りを巻き込むのが上手いのかもしれない。
「ルード、ズルい」
「なにがだ」
「人を巻き込みすぎ」
そういえば、エドヴァルドとレンナントも言いくるめられたような形でセラフィーナの母である王妃の元へと行かされた。
「武官のくせに口が上手いんですよ、そこの男は」
「ん」
「人を筋肉馬鹿みたいに言うな。それに、戦わないで済むならそれが一番いい」
それはもっともだが、ルードヴィグが言うと違和感が半端ない。
「殺す?」
「こら、セラフィーナ。物騒なことを言わない」
「セラさまのほうがよほど魔王っぽいですよね」
「やはりアーベルもそう思うか」
「私は魔王は無理」
「そんなことないぞ。セラが俺にこうしろと命令すれば、俺はそれを実行する」
「……それだとあの人と一緒。いや」
「王妃か」
それからルードヴィグは大きなため息を吐き、セラフィーナを見た。
「エドヴァルドとレンナントだが、無事に偽侍女と合流できたようだ」
「ん」
「その三人と俺の部下は移動魔法で王国に戻り、王妃に謁見を求めているところらしい」
「早い」
「俺の部下が優秀だからな」
「ん」
でも、とセラフィーナは思う。
エドヴァルドとレンナントが本当に叛意を翻したらどうしよう、と。
セラフィーナが難しい顔をしていることに気がついたルードヴィグは、セラフィーナの頭を撫でた。
「あの二人が心配か?」
「んー」
その心配もあるが、今ひとつ人を信じることができないセラフィーナは二人の挙動が気になる。
「そう簡単に二人はやられない」