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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第25章 【第二十五話】悟るふたり
 ルードヴィグは苦笑して、セラフィーナのナカから抜けようとしたのだが。

「だから、もう少しこうしていて」

 とセラフィーナに甘えられてしまえばルードヴィグも抗えるわけがなく、呼びに来られるまでしばらくの間、抱き合っていた。



 今日の午前中の予定は、ミカルとの会談である。
 そういえば結局、ミカルが何者であるのかセラフィーナは聞くのを忘れていたのを思い出した。

「ね、ルード。ミカルってだれ?」

 朝ご飯の時に聞いてみれば、ルードヴィグは渋い顔をした。

「簡単に説明すれば、今の魔王制に反対している重要人物、だな」
「反対?」

 セラフィーナが首を傾げたのを見て、ルードヴィグは追加で説明した。

「魔族は魔王を頭として、その下に評議会があって、さらにその下には街の自治体がある」
「不思議に思ったんだけど、貴族はいないの?」
「いない。そもそも魔族はみな、先祖を辿れば始祖に行き着く。血に貴賤はない」

 そんな説明を受けていたけど、セラフィーナにはピンと来ない。

「あくまでも魔王は魔族をまとめる役目。別に偉くもなんともない」
「そうなの?」
「それぞれが好き勝手にしていたら、部族としてまとまらないだろう? だからまとめ役であり、魔王には基本、決定権などない」

 とはいえ、とルードヴィグは続ける。

「魔王の下にある評議会に決定権があるんだが、すべてをここで決めていたら時間がかかる。だからいつの頃からか、魔王が決めることも増えているが、あくまでも評議会の代理だ」
「代理ってすごくない?」
「すごくないぞ。評議会が魔王に不信任案を出してそれが認められたら、魔王はクビだぞ」
「なにそれ」

 セラフィーナにしてみれば不思議な制度であるようで、ずっとしかめっ面だった。

「そして今日会うミカルは、評議会には属してない、魔王制に反対している人物だ」
「どうしてそんな人と会うの?」
「反対派というだけで会わないというわけにもいかないからだ。平等に接しないとな」

 やはりルードヴィグの言葉はセラフィーナには理解出来なくて、しかめっ面のまま首を傾げた。
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