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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第26章 【第二十六話】会談
 ミカルとの会談は、ミカル側が用意した会議室で行うらしい。
 セラフィーナはルードヴィグに連れられて、その会議室へ歩いて行った。
 移動魔法を使えば一瞬ではあるのだが、それではセラフィーナが城内を覚えられないし、取り立てて時間も切迫していなかったため、歩くことにした。
 廊下を歩いていると、たくさんの魔族とすれ違った。
 ほとんどの人が好意的であったが、中にはセラフィーナに敵意をむき出しにしてくる人もいた。
 その人たちは全員が女性で、もしかしたらルードヴィグの伴侶の地位を狙っていた人たちだったのかもしれない。

「ルード」

 セラフィーナはルードヴィグの袖を掴んで歩いていたのだが、それを引いて足を止めた。

「私は、美味しい?」

 いきなりの質問にルードヴィグは戸惑ったようだが、ここまで来る途中にすれ違った敵意を向けてきた女性陣にはさすがに気がついていた。だからそう聞いてきたのだろうと見当をつけて、ルードヴィグは答えた。

「美味しい」
「ん」

 ルードヴィグの答えに、セラフィーナは満足そうに笑みを浮かべ、ルードヴィグを見た。

「ご褒美」

 そう言ってキスをねだってくるセラフィーナにルードヴィグは腰を引き寄せ、廊下の端に寄ると、唇を重ねた。
 セラフィーナとルードヴィグはしばらくお互いを見つめ、会議室へ向かおうとしたところ、後ろから声がした。

「噂どおり、仲睦まじいようですね」
「ミカルか、久しいな」

 セラフィーナは赤くなりながら声の主を見た。
 焦げ茶の髪に焦げ茶の瞳の男性が立っていた。思っていたより若い。ルードヴィグとそう年齢は変わらないように見えた。
 ミカルはセラフィーナを値踏みするような視線を向けてきたが、すぐにお辞儀をしてきた。

「会談の準備はできています。どうぞ中へ」

 ミカルに誘われ、ルードヴィグとセラフィーナは中へ入った。
 会議室は思ったより広かったが、中にはだれもいなかった。
 会談というくらいだからたくさんの人がいると思っていたセラフィーナは意外に思っていた。

「それで?」

 会議室に入り、手短な椅子に腰を掛けるなりルードヴィグはそう切り出した。

「茶は出さなくてよい」
「存じております」
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