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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第27章 【第二十七話】核
 弾き出されたセラフィーナは驚いたが、ルードヴィグに抱きしめられ、安心した。

『美味しくない』
「美味しくないって失礼ね! だって私、別にあなたのお食事係じゃないもの」
『そうか、魔王が美味しいのね』

 核から黒い粘膜のような触手がルードヴィグに伸びるのを見て、セラフィーナはルードヴィグの前に立ち、庇おうとした。
 しかしそれはセラフィーナを避けて、ルードヴィグへと向かう。
 だがそれは、ルードヴィグに到達する前にルードヴィグによって斬り刻まれていた。

『痛いぃぃぃ』
「ほう、痛みがあるのか」

 ルードヴィグは剣を抜いたまま、核に視線を向けた。

「おまえが魔族の要であり、ここで魔王城を守っているのは知っている。もちろん、魔力を提供するのは魔王としての義務だと認識しているが、無理矢理なのは感心しない」
『欲しいのぉ、美味しい魔力が欲しいのぉ』

 どこか暴走しているような気配の核に、ルードヴィグは首を傾げる。

「なにかおかしいな」

 年に一度、ルードヴィグは核をこうして見にきていたが、今まで特に問題はなかった。
 それがどうしてか、今回は暴走している。
 どこに違いがあるのか悩んで、それから気がついた。
 以前のルードヴィグは保有魔力が枯渇していた。だけど今はセラフィーナのおかげで満ち溢れている。
 ルードヴィグが見たところ、黒い核の魔力は前と変わらず八割といったところか。
 前に見たときと変わらずといったところだが、ルードヴィグが魔王になった当初は満タンだったところを見ると、減っている。

「……おまえの魔力を補充しなければならないのか」
『そうよ』
「それなら無理矢理、盗ろうとするな。きちんと説明しろ」
『…………』

 核からは無言が返ってきた。

「セラ、ちょっと待っていてくれないか」
「ん」

 ルードヴィグは小さくため息を吐くと、黒い核の表面に触れ、魔力を受け渡した。
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