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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第27章 【第二十七話】核
 そう言いながら、セラフィーナはルードヴィグの指を食いちぎらん勢いで腰を振る。

「後でいくらでも俺を喰らわせてやるから、今は指で我慢しろ」
「やっ!」

 嫌と拒否をされても、ここは一応は神聖な場所。
 黒い核の意志だとしても、セラフィーナを抱くのは駄目だとルードヴィグは思っていた。

『ちょうだい、ちょうだい。昨日はくれた』

 セラフィーナの口から、セラフィーナではない声がした。ルードヴィグはその声を前にも聞いたことがあった。それは魔王になった時だ。

「核か」
『そうよ。昨日はくれた』
「……セラが積極的だと思ったが、おまえか」
『そうよ。美味しかった、もっとちょうだい』
「対価はなんだ?」
『くれないと、あなたの大切なこの子を返さない』
「それは脅しというやつだ! 対価がないのなら、魔力の供給も止めるぞ」
『止めてもいいわよ。私はこの子から魔力を絞り取るから』
「交渉は決裂だな」

 ルードヴィグはセラフィーナのナカから指を抜くと、蜜に塗れた指を舐めた。

『あああ、美味しそう……!』
「おまえにはやらぬ。とにかく、セラフィーナを返せ。話はそれからだ」
『駄目』

 ルードヴィグは核に埋もれたセラフィーナを引っ張り出そうとしたが、核ががっしりとセラフィーナの身体を捕まえているようで、動かない。

「セラっ」

 ルードヴィグの声にセラフィーナはうっすらと目を開けた。それから周りが真っ暗で、ルードヴィグの気配がないことに気がついた。

「ルード?」
「セラ、気がついたか?」
「ここは?」
「核のある城下だ」

 ルードヴィグに言われて、セラフィーナは核に触れたところまでしか記憶がないことに気がついた。

「私?」
「すまぬ、核に取り込まれてしまったようだ」
「え?」

 セラフィーナは核の中で嫌々と首を振り、それから足掻いた。

「やだ、ルードと離れるのは嫌っ!」

 セラフィーナは周りをやみくもに叩き始めた。

「ルードと離さないでっ!」

 バタバタと暴れるセラフィーナに核がなにを思ったのか。
 核はセラフィーナをぺっと吐き出した。
 ルードヴィグは慌ててセラフィーナの身体を受け止めた。

「ルード!」
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