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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第28章 【第二十八話】覚悟
 ルードヴィグが黒い核に魔力を譲渡した後の残りは半分といったところか。
 黒い核はようやく満タンになったことで満足したようだ。

「戻るぞ」

 ルードヴィグから離れて待っていたセラフィーナにそう声を掛けると、セラフィーナは嬉しそうに駆けてきた。
 ルードヴィグはセラフィーナを抱きとめ、それから手を繋いだ。

「ルード」

 セラフィーナは心配そうにルードヴィグを見上げていた。

「疲れた?」
「さすがに半分も魔力を持っていかれたからな」
「食べる?」
「後でゆっくりセラを食べる」
「ん」

 満足そうなセラフィーナに、ルードヴィグは首を傾げた。

「勝ったの」
「……だれにだ?」
「核に勝った」
「勝負だったのか?」
「ん。私の魔力、不味いって言ったのに、ルードから食べた」

 ルードヴィグにはセラフィーナの言っていることがよく分からなかったが、セラフィーナが満足しているようだったのでよいとした。

「それでは、帰るか」

 城下にどれだけいたのか分からないが、ずいぶんと時間が経っているのだけは分かった。
 ルードヴィグはセラフィーナの腰を抱えると、移動魔法を唱えた。一瞬にして景色は変わり、いつも食事をする部屋に移動していた。

「そういえば、昼を抜かしたな」

 とはいえ、もう少しで夕飯の時間になるため、ルードヴィグとセラフィーナは果実水を飲んで、水分補給をするだけにした。

 水分補給をした後は、部屋の隅にある長椅子にルードヴィグは座り、セラフィーナを膝に乗せた。

「さてと」
「ん?」

 部屋の端には、なにかあった時のためにエレンとイェリンが待機している。
 それに夕飯前の空いた時間だから、手は出してこないと判断したセラフィーナは、素直にルードヴィグの膝の上にいた。

「昨日の夜のことは覚えているか?」
「ん」
「俺を積極的に誘ってきたな」
「……ん」
「セラの意志か?」

 改めて聞かれると、恥ずかしい。
 が、きっと、先ほどの核とのやり取りに繋がっているのだろうとセラフィーナは判断して、小さく頷いた。

「それならばいいが、核の言葉がどうにも引っかかる」

 昨日、美味しかったと言っていた。

「つまみ食いでもされていたか?」
「殺す?」
「いやいや、それは無理だ。というか、セラは相変わらず物騒だな」
「だって、ルードと離そうとした」
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