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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第28章 【第二十八話】覚悟
なんの、とは聞いてこなかったが、セラフィーナには分かった。
実の母の命を失うことになる覚悟は出来ているかということだろう。
本当なら、そんな覚悟をする必要はないのだろうが、セラフィーナは違っていた。
幼い頃に実の母に殺されかけ、そして今回も直接ではないが、殺されそうになっている。
黙って殺される気にもなれないセラフィーナは、静かに首を振った。
「私がやる」
「セラフィーナ」
「あの人はおかしい。でも、あれでも私の母だ。だから、責任を持って私が始末をする」
別の覚悟を決めてしまったセラフィーナに、しかし、ルードヴィグが今度は首を振った。
「セラが直接、手を下す必要はない」
「でも!」
「なぁに、国王と妃の二人に表舞台から去っていただくだけだ」
「……え?」
「直接、二人が死ぬところを見たいと?」
ルードヴィグの言葉に、セラフィーナは複雑な表情を浮かべた。
なにをするつもりなのか分からないが、アーベルが渋るのもしょうがない。
「ついでに、皇子にも去ってもらおうか」
「調べたところ、その皇子ですが、病気のために寝室から出られない状態になっていました」
「ふむ。それでは王国もおしまいか?」
「兄がいる」
「そうだったな。……ところでセラフィーナ」
「ん?」
「王国の権力は要るか?」
「必要ない。が、国がぐちゃぐちゃになるのは忍びない」
「それなら」
アーベルはルードヴィグの言葉に頷いた。
「ケヴィンの側仕えにヴィクトルという男がいるのをセラは知ってるか?」
「いや……」
ケヴィンというのはセラフィーナの兄の名前だ。ルードヴィグに言われるまですっかり忘れていた。
「ケヴィンはセラを殺してでも王位が欲しい野心家のようだな」
幼い頃に一度しか会っていない兄のうえ、殺されかけたのだ。肉親の情などないし、赤の他人よりも希薄な関係だとセラフィーナは思っている。
「その割には、能力は凡庸以下。周りは第一皇子に与しない有象無象の取り巻きがいて、混沌な状態だそうだ」
実の母の命を失うことになる覚悟は出来ているかということだろう。
本当なら、そんな覚悟をする必要はないのだろうが、セラフィーナは違っていた。
幼い頃に実の母に殺されかけ、そして今回も直接ではないが、殺されそうになっている。
黙って殺される気にもなれないセラフィーナは、静かに首を振った。
「私がやる」
「セラフィーナ」
「あの人はおかしい。でも、あれでも私の母だ。だから、責任を持って私が始末をする」
別の覚悟を決めてしまったセラフィーナに、しかし、ルードヴィグが今度は首を振った。
「セラが直接、手を下す必要はない」
「でも!」
「なぁに、国王と妃の二人に表舞台から去っていただくだけだ」
「……え?」
「直接、二人が死ぬところを見たいと?」
ルードヴィグの言葉に、セラフィーナは複雑な表情を浮かべた。
なにをするつもりなのか分からないが、アーベルが渋るのもしょうがない。
「ついでに、皇子にも去ってもらおうか」
「調べたところ、その皇子ですが、病気のために寝室から出られない状態になっていました」
「ふむ。それでは王国もおしまいか?」
「兄がいる」
「そうだったな。……ところでセラフィーナ」
「ん?」
「王国の権力は要るか?」
「必要ない。が、国がぐちゃぐちゃになるのは忍びない」
「それなら」
アーベルはルードヴィグの言葉に頷いた。
「ケヴィンの側仕えにヴィクトルという男がいるのをセラは知ってるか?」
「いや……」
ケヴィンというのはセラフィーナの兄の名前だ。ルードヴィグに言われるまですっかり忘れていた。
「ケヴィンはセラを殺してでも王位が欲しい野心家のようだな」
幼い頃に一度しか会っていない兄のうえ、殺されかけたのだ。肉親の情などないし、赤の他人よりも希薄な関係だとセラフィーナは思っている。
「その割には、能力は凡庸以下。周りは第一皇子に与しない有象無象の取り巻きがいて、混沌な状態だそうだ」