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第29章 【第二十九話】建国祭

　二人はなにが起こっているのか分からなかった。
　だが、一瞬後。
　二人の足下が崩れ、そして遅れて二人の身体が落下した。
　バルコニーのある場所はそれなりに高く、下は硬い地面。
　かなりの速度で二人の身体は落ちて、地面に叩きつけられた。さらには落ちた二人のうえに壊れたバルコニーの破片が降り注いだ。
　バルコニーの側にいた人たちはそれを見て、あまりの出来事にジリジリと離れていく。
　遠目から見ていた観客たちは突然の惨劇に静まりかえった。

「ルード？」
「なんだ」
「これ」

　確認をしなくても、二人は即死していることは明らかだった。
　だからルードヴィグはセラフィーナの手を引いて、人の隙間をぬって城門へと向かった。