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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第29章 【第二十九話】建国祭
意味深なルードヴィグの言葉の真相を正そうとする前に、バルコニー前に集まった人たちの歓声が高まったことで、国王が現れたのを知った。
セラフィーナは顔を上げ、バルコニーに視線を向けた。
そこにいたのはセラフィーナと同じ髪の色をした男性だった。頭に冠が乗っているところを見ると、あれが国王らしい。
自分の父親だと言われても、セラフィーナは不快な感情しか浮かんでこない。
男はにこやかに手を振っているらしい。
セラフィーナの立っている場所からは遠すぎてよく見えない。
むしろ、近くなくてよかったとセラフィーナは思った。
しばらくして、歓声がさらに大きくなった。
国王が立つ場所とは反対側の窓から、真っ赤なドレスを着た女性が現れた。こちらの女性の髪の毛も同じく白金だった。頭には金色に輝く王冠が乗っているようだった。
「派手」
セラフィーナの呟きに、ルードヴィグはギュッと手を握った。
「殺す?」
紫の瞳に見つめられたルードヴィグは、小さく首を振った。
「じゃあ、どうするの?」
「もう少しだ、見ていろ」
バルコニーの二人は端と端に分かれ、手を振っていた。
割れんばかりの歓声に、しかし、急に異音が入り込んできた。
最初に気がついたのは、バルコニーの下にいた観客の一人。
「逃げろ! バルコニーから離れろ!」
その声とともに悲鳴があがり、バルコニー前からバッと人が離れた。
こんな人混みで急に人が動けばパニックになるはずなのに、それは不思議と静かに人がバルコニーから離れていく。
こうなることを知っていた魔族たちがバルコニー前に集まり、密かに誘導していたため、混乱は起こらなかった。
そして、バルコニーの上にいる二人は異変に気がつくことなく手を振り続けていたが、身体が傾いだところでようやくおかしいことに気がついた。
「な、なにっ?」
セラフィーナは顔を上げ、バルコニーに視線を向けた。
そこにいたのはセラフィーナと同じ髪の色をした男性だった。頭に冠が乗っているところを見ると、あれが国王らしい。
自分の父親だと言われても、セラフィーナは不快な感情しか浮かんでこない。
男はにこやかに手を振っているらしい。
セラフィーナの立っている場所からは遠すぎてよく見えない。
むしろ、近くなくてよかったとセラフィーナは思った。
しばらくして、歓声がさらに大きくなった。
国王が立つ場所とは反対側の窓から、真っ赤なドレスを着た女性が現れた。こちらの女性の髪の毛も同じく白金だった。頭には金色に輝く王冠が乗っているようだった。
「派手」
セラフィーナの呟きに、ルードヴィグはギュッと手を握った。
「殺す?」
紫の瞳に見つめられたルードヴィグは、小さく首を振った。
「じゃあ、どうするの?」
「もう少しだ、見ていろ」
バルコニーの二人は端と端に分かれ、手を振っていた。
割れんばかりの歓声に、しかし、急に異音が入り込んできた。
最初に気がついたのは、バルコニーの下にいた観客の一人。
「逃げろ! バルコニーから離れろ!」
その声とともに悲鳴があがり、バルコニー前からバッと人が離れた。
こんな人混みで急に人が動けばパニックになるはずなのに、それは不思議と静かに人がバルコニーから離れていく。
こうなることを知っていた魔族たちがバルコニー前に集まり、密かに誘導していたため、混乱は起こらなかった。
そして、バルコニーの上にいる二人は異変に気がつくことなく手を振り続けていたが、身体が傾いだところでようやくおかしいことに気がついた。
「な、なにっ?」