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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第32章 【第三十二話】魔性の女
ルードヴィグはセラフィーナを抱きしめて眠った。
セラフィーナは辛い夢でも見ているのか、ときどき呻き声をあげていた。その度にルードヴィグはセラフィーナの背中を撫でたりしてなだめた。
ルードヴィグが起きたとき、セラフィーナはまだ眠っていた。
ルードヴィグの腕の中で安心したように眠っている姿に心安まる。
昨日、セラフィーナに酷いことをしてしまったが、後悔はしていない。
セラフィーナの両親を命じて殺したことも後悔していない。
ルードヴィグはセラフィーナとともにいられるためならばなんだってできると思っていた。
セラフィーナがゆっくりと目を覚ます。
ルードヴィグと視線が合ったとき、少し驚いたように瞳が揺らいでいたが、すぐに笑みが返ってきた。
「ルードヴィグ」
「どうした?」
「おはよう」
「うむ、おはよう」
「まだ、起きないの?」
いつもならルードヴィグは起きるとすぐにベッドから抜け出して準備を始める。
それなのに今日はそうしないことにセラフィーナは不思議に思ったようだ。
「セラを見ていた」
「な、なんで!」
「昨日、酷くした。身体は辛くないか?」
ルードヴィグのその一言にセラフィーナは昨日の出来事を思い出し、顔をしかめた。
「ルードの悪役魔王さま役、棒すぎ」
「なんだそれは」
「なんでルードの方が泣きそうな顔をしてるんだろうって思った」
「…………。アーベルにも似たようなことを言われた」
「私は平気。むしろ、あんな人たち、死んでよかったのよ。……って思う自分が嫌だった」
「まぁ、複雑な気持ちになるのは分かる」
「なんの力がないことに嫌になった。力があれば、ルードに嫌なこと、させなくて済むのに」
「じゃあ、セラが代わりに魔王になるか?」
「そういう力じゃなくて!」
「どういう力だ?」
「願ったり思ったことが実現する力!」
「そんな恐ろしい力、要らん」
「……要らない?」
「なんでも自分の思いどおりになるって怖いぞ。歯止めが効かなくなる」
「……そっか。それもそうだね」
セラフィーナは辛い夢でも見ているのか、ときどき呻き声をあげていた。その度にルードヴィグはセラフィーナの背中を撫でたりしてなだめた。
ルードヴィグが起きたとき、セラフィーナはまだ眠っていた。
ルードヴィグの腕の中で安心したように眠っている姿に心安まる。
昨日、セラフィーナに酷いことをしてしまったが、後悔はしていない。
セラフィーナの両親を命じて殺したことも後悔していない。
ルードヴィグはセラフィーナとともにいられるためならばなんだってできると思っていた。
セラフィーナがゆっくりと目を覚ます。
ルードヴィグと視線が合ったとき、少し驚いたように瞳が揺らいでいたが、すぐに笑みが返ってきた。
「ルードヴィグ」
「どうした?」
「おはよう」
「うむ、おはよう」
「まだ、起きないの?」
いつもならルードヴィグは起きるとすぐにベッドから抜け出して準備を始める。
それなのに今日はそうしないことにセラフィーナは不思議に思ったようだ。
「セラを見ていた」
「な、なんで!」
「昨日、酷くした。身体は辛くないか?」
ルードヴィグのその一言にセラフィーナは昨日の出来事を思い出し、顔をしかめた。
「ルードの悪役魔王さま役、棒すぎ」
「なんだそれは」
「なんでルードの方が泣きそうな顔をしてるんだろうって思った」
「…………。アーベルにも似たようなことを言われた」
「私は平気。むしろ、あんな人たち、死んでよかったのよ。……って思う自分が嫌だった」
「まぁ、複雑な気持ちになるのは分かる」
「なんの力がないことに嫌になった。力があれば、ルードに嫌なこと、させなくて済むのに」
「じゃあ、セラが代わりに魔王になるか?」
「そういう力じゃなくて!」
「どういう力だ?」
「願ったり思ったことが実現する力!」
「そんな恐ろしい力、要らん」
「……要らない?」
「なんでも自分の思いどおりになるって怖いぞ。歯止めが効かなくなる」
「……そっか。それもそうだね」