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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第35章 二*心と身体の乖離
 一方のアリシアだが。
 ベッドのうえで、天井を眺めていた。

 アリシアも魔族だ。
 魔力の補給に男と身体を合わせてきた。もちろん、暗黙の了解であるナカ出しはなしで、だ。
 アリシアもそれなりに男性経験はある。
 気持ちが良いということはあった。
 だけど──。

 アーベルにされたことは最低だったが、身体が蕩けて動けなかった。

 前戯がなかったとはいえ、ナカをむちゃくちゃに擦られ、奥を突かれ、頭がおかしくなるかと思った。
 ナカに出され、あまりの気持ちよさに達してしまった。

 これで最後かと思うと、残念に思えるほどだった。
 しかし。

 言われた内容は最低であったものの、処理係に任命された。
 しかも、下着を着けずにいるようにということは、ところ構わず襲うということで……。

「わたし、最低だわ」

 それが嬉しい、だなんて。

 どうしてこうなった。
 そう思うけれど、あの冷血のアーベルを動かしたということでもあり。
 アリシアはアーベルが苦手ではあったが、しかし、身体は気持ち良かった。

「仕事に戻らないと」

 アリシアはそれだけ口にして、アーベルに言われたとおりに下着を外し、身支度すると、部屋を出た。
 後でだれかに客室の掃除を頼まなければ、と思いながら部屋を出て、ルードヴィグの部屋へと戻った。

 そこにはすでにルードヴィグとセラフィーナはいなくなっていた。隣の部屋に気配があるから、蜜月なのでこもったのだろう。
 アーベルもいなかった。
 そのことにホッとするものの、淋しさはあった。
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