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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第37章 【番外編:二】セラさまは罪深い

イェリンは最近、魔王の伴侶になった人間のセラさまという人の身の回りのお世話をすることになった。
採用された理由は年が近いからというだけらしいが、イェリンは最初、不満だった。
イェリンは魔族にしては家族が多い。
兄が三人にイェリンが末っ子だ。両親はどうしても女の子が欲しくて頑張ったらしい。
だからなのか、イェリンは甘やかされ、奔放に育てられた。
とはいえ、魔族にしては子だくさんなため、家はそれほど裕福ではない。
上の兄三人も早くから働きに出ていたし、イェリンも十六のときから城に勤めている。
家庭の事情でなんとなく働き出したため、将来の夢だとか、展望はなかったけれど、それでも、今の割り当てられた仕事にようやく慣れてきて誇りに思っていたところの【人間】のお世話だ。
イェリンも大勢の他の魔族と同じように人間に対してなんとも思っていない。魔族に比べれば弱くて魔法も使えないひ弱な種族という認識でしかない。
普通に暮らしていれば関わることのない人間の、しかも魔王の伴侶のお世話だなんて、なんて運がない。
イェリンの同僚もそんなイェリンに同情的だった。
気乗りしないけれど、魔王さま自らの命令である。逆らうつもりはない。
部屋も魔王さまの近くの一人部屋になるというから、移動することになった。
荷物はさほどないが、面倒だ。気乗りしないまま荷物をまとめ、移動する。
そして、異動一日目にして、イェリンは絶望する。
なんと、この職場、魔族はイェリン一人なのである。
イェリンと同じくセラさまをお世話する人はいたけれど、三人とも人間だというのだ。
え、魔法も使えないひ弱な人間と? とイェリンは驚き、そして、仕事内容を聞いて再び驚き、詳細を聞いて、絶望した。
いやそれ、魔法であっという間に終わる作業だよね? ということも、魔法が使えない故に手作業でやっているのだ。
特に魔法は禁止されなかったけれど、なぜだろう、魔法を使うとズルをしている気分になるから、なんとなく使いにくい。
イェリンは結局、魔法を使わずに手でやった。慣れない作業にどっと疲れた。
一日目はそうやって過ぎて、結局、セラさまとは会えなかった。
採用された理由は年が近いからというだけらしいが、イェリンは最初、不満だった。
イェリンは魔族にしては家族が多い。
兄が三人にイェリンが末っ子だ。両親はどうしても女の子が欲しくて頑張ったらしい。
だからなのか、イェリンは甘やかされ、奔放に育てられた。
とはいえ、魔族にしては子だくさんなため、家はそれほど裕福ではない。
上の兄三人も早くから働きに出ていたし、イェリンも十六のときから城に勤めている。
家庭の事情でなんとなく働き出したため、将来の夢だとか、展望はなかったけれど、それでも、今の割り当てられた仕事にようやく慣れてきて誇りに思っていたところの【人間】のお世話だ。
イェリンも大勢の他の魔族と同じように人間に対してなんとも思っていない。魔族に比べれば弱くて魔法も使えないひ弱な種族という認識でしかない。
普通に暮らしていれば関わることのない人間の、しかも魔王の伴侶のお世話だなんて、なんて運がない。
イェリンの同僚もそんなイェリンに同情的だった。
気乗りしないけれど、魔王さま自らの命令である。逆らうつもりはない。
部屋も魔王さまの近くの一人部屋になるというから、移動することになった。
荷物はさほどないが、面倒だ。気乗りしないまま荷物をまとめ、移動する。
そして、異動一日目にして、イェリンは絶望する。
なんと、この職場、魔族はイェリン一人なのである。
イェリンと同じくセラさまをお世話する人はいたけれど、三人とも人間だというのだ。
え、魔法も使えないひ弱な人間と? とイェリンは驚き、そして、仕事内容を聞いて再び驚き、詳細を聞いて、絶望した。
いやそれ、魔法であっという間に終わる作業だよね? ということも、魔法が使えない故に手作業でやっているのだ。
特に魔法は禁止されなかったけれど、なぜだろう、魔法を使うとズルをしている気分になるから、なんとなく使いにくい。
イェリンは結局、魔法を使わずに手でやった。慣れない作業にどっと疲れた。
一日目はそうやって過ぎて、結局、セラさまとは会えなかった。

