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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第40章 二*交尾を知らない……だと?
年かさの家臣はそう言うと、力なく笑った。
「いやいやいや、待て待て待て。殿下のご両親は?」
「王妃であらせられるディーサさまと、お亡くなりになっていますが、バートさまの第一子でございます」
「……ん? ちょっと待て。おい、王妃はいま」
ヴィクトルはそこまで口にして、サーッと血の気が引いた。
これは不味い状況ではないか、と。
「あなたはこの国に来て日が浅いのでしたね。それなら、知らなくても無理はありません。現国王と王妃は実の兄妹。血が繋がっているのですよ」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと待て」
おかしなことを当たり前のように口にする年かさの家臣に、ヴィクトルは混乱していた。
魔族も全員が血縁者という濃い血をしているが、始祖近くはともかくとして、それゆえに昔からできるだけ縁が遠いところと結びつき、近いところは忌み嫌ってきた。
それでも血が濃くなり子どもができにくいというのに……というのは置いておいて。
「この国では、兄と妹が結婚することは普通というか当たり前というか、あっていいことなのか?」
あっていいわけがないとヴィクトルは頭で分かっているのだが、確認しないとおかしくなりそうだったので聞いてみた。
「王族ですから、当たり前ですね」
ちっとも当たり前ではないという態度を取りながら、年かさの家臣は口ではそう言った。
「あの人たちは特別なのですよ」
ヴィクトルから見れば、王族も目の前にいる年かさの家臣も同じ人間にしか見えない。
「陛下と王妃はそれぞれが伴侶を亡くしています。それゆえにお互いが手に手を取って国を治めていかないと……と思ったとか思わなかったとか」
思っていようといまいが、いや、思ったのなら別に結婚しなくても共同統治でいいだろう! とヴィクトルは思うのだが、どうもこの国の王族さまというヤツは、ヴィクトルの考えが及ばないところで思考をなさっているらしい。
「血を薄めるのが嫌だったんじゃないですかぁ?」
年かさの家臣は投げやりにそう言った。
「いやいやいや、待て待て待て。殿下のご両親は?」
「王妃であらせられるディーサさまと、お亡くなりになっていますが、バートさまの第一子でございます」
「……ん? ちょっと待て。おい、王妃はいま」
ヴィクトルはそこまで口にして、サーッと血の気が引いた。
これは不味い状況ではないか、と。
「あなたはこの国に来て日が浅いのでしたね。それなら、知らなくても無理はありません。現国王と王妃は実の兄妹。血が繋がっているのですよ」
「え、ちょ、ちょ、ちょっと待て」
おかしなことを当たり前のように口にする年かさの家臣に、ヴィクトルは混乱していた。
魔族も全員が血縁者という濃い血をしているが、始祖近くはともかくとして、それゆえに昔からできるだけ縁が遠いところと結びつき、近いところは忌み嫌ってきた。
それでも血が濃くなり子どもができにくいというのに……というのは置いておいて。
「この国では、兄と妹が結婚することは普通というか当たり前というか、あっていいことなのか?」
あっていいわけがないとヴィクトルは頭で分かっているのだが、確認しないとおかしくなりそうだったので聞いてみた。
「王族ですから、当たり前ですね」
ちっとも当たり前ではないという態度を取りながら、年かさの家臣は口ではそう言った。
「あの人たちは特別なのですよ」
ヴィクトルから見れば、王族も目の前にいる年かさの家臣も同じ人間にしか見えない。
「陛下と王妃はそれぞれが伴侶を亡くしています。それゆえにお互いが手に手を取って国を治めていかないと……と思ったとか思わなかったとか」
思っていようといまいが、いや、思ったのなら別に結婚しなくても共同統治でいいだろう! とヴィクトルは思うのだが、どうもこの国の王族さまというヤツは、ヴィクトルの考えが及ばないところで思考をなさっているらしい。
「血を薄めるのが嫌だったんじゃないですかぁ?」
年かさの家臣は投げやりにそう言った。