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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第41章 三*ケヴィンの自業自得な過去
 しかし、とヴィクトルは思う。
 血が濃ければいいってもんじゃない。むしろ、濃いことによる弊害が大きいのを知らないのではないだろうか。
 まぁ、人間の隆盛と衰退などどうでもいいヴィクトルに関係のない話ではある。

 話が逸れまくってしまったが、ケヴィンに胤違いの妹が出来たことで事態が変わったという。

「殿下はあくまでも普通だったのですが、セラフィーナさまは幼いながらになかなか頭が切れる人だったようでして、陛下の覚えも良く、結果、殿下は二位から三位へと」

 ヴィクトルの認識では、産まれた順で継承権がつくものだと思っていたのだが、違ったのだろうか。

「やはり凡庸でパッとしない妹の子より、自分の血を引いた、しかも聡い子の方がかわいかったのでしょう。あ、セラフィーナさまをご覧になったこと、ないですよね? それはもう、かわいらしく、王家の血を色濃く継いだ容姿をしていますから、陛下は可愛くて仕方がなかったのでしょう」
「…………」
「ということで、殿下はご乱心なさい、セラフィーナさまを亡き者にしようとしたのですよ」

 結果は聞くまでもないし、賢ければ実行する前に結果は分かりきっているからやるわけがない。それでも一縷の望みをかけてやってしまったところが、あの殿下の残念たるゆえん……か?

「殿下は、あろうことか池の側で遊んでいたセラフィーナさまを遊び仲間をけしかけて、突き落としたのですよ」
「……お、おう」

 馬鹿だ、馬鹿としか思えない。

「殿下の読みの甘さが露呈した出来事でもありますね。セラフィーナさまは泳げたため、自力で池から這い上がり」

 その先の展開はホラー待ったなしのような気がしてヴィクトルは聞きたくなかったが、興に乗ってきたらしい年かさの家臣に腕を掴まれ、逃げる機会を逃してしまった。

「ずぶ濡れのまま、セラフィーナさまを落とした殿下の遊び仲間を無言で池に突き落とし、さらにはセラフィーナさまを救出しようとした騎士団員の腰から剣を抜き放つと迷いなく殿下の股間に突き刺し……」

 話を聞いているだけでヴィクトルは股間がむずむずした。
 それは年かさの家臣も同じようで、妙な表情をしていた。

「あたりは血みどろになって、それは大変だったそうで……」
「ぉ、ぉぅ」
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