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第4章 【第四話】魔王のお食事とセラフィーナの嫉妬

　レンナントは腰に佩いていた剣を抜くと、ルードヴィグに斬りかかった。
　レンナントの剣の腕を知っているセラフィーナは、ルードヴィグの前に出ようとしたが、ルードヴィグの方が早かった。
　ルードヴィグも剣を抜くと、レンナントの剣を受けた。
　キン、と金属が触れる鋭い音が池の周りに響いた。
　レンナントは剣を引くとすぐにルードヴィグに斬りかかった。ルードヴィグは危なげなくレンナントの剣を受け、流した。

「レンナント、止めて！」
「姫さまを傷つけるとは、この不届き者め！」
「ルード！」

　レンナントが斬りつけ、ルードヴィグが流す。
　ずっとその攻防が続いていたが、レンナントの息が上がってきた。

「まだ未熟だな」

　ルードヴィグはレンナントが斬りつけてきたタイミングをみて、レンナントの剣を弾き飛ばした。

「あっ！」

　レンナントの剣は宙を舞い、レンナントの後ろの地面に突き刺さった。

「くそっ！」

　レンナントは素手でルードヴィグに殴りかかった。
　ルードヴィグは剣を収め、レンナントの拳をいなした。

「怒りのままに攻撃するのはよくないな」

　ルードヴィグはレンナントの足を払い、地面に投げ飛ばした。

「セラ、そこの未熟者としっかり話せ。きちんと説得できた暁には、迎えに行く。それまで、食事をしないで待っている」
「嫌っ！　ルード、私を連れていって！」
「セラフィーナといえば、この国の姫だろう？　娶るにしても、きちんと筋を通さねばなるまい」
「娶る……？」

　ルードヴィグはセラフィーナの耳元で囁いた。

「おまえのナカに俺の子胤を撒いたからな。おまえが姫なら娶らねばなるまい」

　セラフィーナはそんなつもりはなかったから首を振ったが、ルードヴィグも同じように首を振った。

「もう、セラフィーナ以外から食事はしたくない。おまえがただの娘ならばこのままさらっていくのだが、姫ならば話は別だ。きちんと娶りたい」

　ルードヴィグはそれだけ告げると、音もなく消え去った。