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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第45章 七*魔族の個人情報保護とは?
 ヴィクトルの心のこもってないお礼に気がついていながらケヴィンは気にせず、恨めしい顔でヴィクトルを見た。

「まだ正式には王じゃないんだけどね。まぁ、それはいいよ。……あ、いやよくないのか」

 どっちなんだとヴィクトルは心の中でツッコミを入れ、それから内心でため息を吐いた。

 あんなことがあってここを捨てたけど、やっぱりヴィクトルにとっては楽しい場所なのだ。
 戻れるのなら戻りたい。

「それでさ、ぼくが王になった。まぁそれだけならよかったんだけどね。王になるとさ、ヴィクトルも分かっていると思うけど、後継者問題が出てくるよね」

 よね、と言われてもそうですかとしか言えない。

「皇子が生きてたらまだしも、彼、性病で死んじゃったし」

 あ、それ、やっぱり噂じゃなくて本当だったんだ。

「ぼくの股間をこんなにしちゃった妹は魔王と結婚しちゃったし」

 股間の原因を作ったのは自分だろう、と思わず突っ込む。

「そしてぼくはこんなだし。残りはアルベルティーナだけなわけさ」
「その魔王と結婚した妹君の子どもを後継者にすればいいのでは?」
「あー、やっぱりそう言う? その意見もでたんだけどね。ほら、相手が魔王だろう? 王国が乗っ取られるかもしれないからねー」

 魔族がそんな面倒なことをするだろうか。
 いや、しない。百パーセントしないとは言い切れないけど、高い率でしないと断言できる。
 なぜなら、ヴィクトルも腐っても魔族だからだ。
 魔族は先祖をたどれば必ず始祖にいきつく。ということは、みんな血縁者で家族みたいなものだ。だからこそ、分かる。
 楽しいこと、気持ちいいことならともかく、そんな面倒なことをするわけがない。

「その心配はありません」
「おまえもアーベルと同意見か」
「はい」
「まぁ、向こうに子どもが複数人産まれたら、考えてもらおうって方向で話がまとまったと思ったら」
「ら」
「アルベルティーナの妊娠が発覚して、大騒動さ」
「…………」
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