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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第48章 十*良い知らせと悪い知らせ
 ピチョン……と音にヴィクトルは目を覚ました。
 王城内を不審な人物が彷徨いていれば兵士に見つかって捕まるのは道理だ。
 捕まったヴィクトルは自分はヴィクトルという名で、アルベルティーナの産んだ子の父親だと告げた。そして、アルベルティーナかケヴィンに会わせて欲しいと訴えた。だが、残念なことにヴィクトルの名を知る者はいなかったし、汚い男のいうことはただの妄想・妄言の類いだと笑われて、牢屋に突っ込まれた。
 もちろん、ヴィクトルならこんな牢屋から出るのは容易かった。だけど闇雲に探すよりもここにいた方が確実にアルベルティーナに会えるだろうと思い、留まることにした。
 最初はジメジメとして、かび臭いし寒いし寝台は硬いしで眠れなかったが、数日で慣れてしまった。今も水の音がしなければ寝ていたところだ。
 ここに入れられて何日が経過したのかヴィクトルには分からなかった。
 あと一回、寝ても動きがないようなら脱出しようと思っていたら、牢屋の入口がザワザワし始めた。
 一日に数回、牢屋の扉は開く。食事は二回、後は数回の兵士の見回り。
 先ほど、兵士の見回りがあったばかりなのに、なんだというのか。

「この中にヴィクトルいう名の者はいるか!」

 兵士ではない、女性の声が牢屋に響き渡る。
 名を呼ばれたヴィクトルは、おれだと答えようとしたが──。

「俺だ!」
「いや、オレだし」

 とあちこちの牢屋から声が上がったため、ヴィクトルはため息を吐いて硬い寝台の上に腰掛けた。
 声は響いて分かりにくかったが、アルベルティーナの声だった……と思う。
 あちこちでオレだ、オレだという声が上がるが、アルベルティーナの次の言葉で牢屋内は静まりかえった。

「ふーん、そんなにみんな、処刑されたいんだ?」

 アルベルティーナのその声に、ヴィクトルは腰を上げ、牢屋の柵から腕を出した。

「ヴィクトルならおれだ」
「あら、あなた、死にたいの? ……というか、なんか汚いけど本物だ。なにこんなところに入ってるの?」
「は? 入れたのはおまえらだろうが!」
「ま-、そんだけ汚かったら仕方がないよわね-」
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