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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第49章 十一*求婚
 とにかく! とアルベルティーナは机に手を突いて、ヴィクトルに迫った。

「四の五のいいから結婚しろ!」

 急接近にヴィクトルは驚いたけれど、アルベルティーナの頬に手を当て、口づけを落とした。
 最初は触れるだけのキスを。次に唇を押し付けるように。そして、アルベルティーナの唇を舐めながら口を割り、口内に舌を押し込めた。
 抵抗されるかと思ったが、アルベルティーナは素直にヴィクトルの舌を受け入れ、舌を絡めるキスをする。
 他の女とのキスは嫌だけど、どうしてアルベルティーナとのキスはこんなに気持ちが良くて美味しいのだろう。
 舌を絡め、歯列をなぞり、口内をくまなく舐めていると、それだけでは足りなくなってきた。
 ヴィクトルは椅子から腰を上げて机を回り込み、アルベルティーナの腰を抱きながらキスをした。
 アルベルティーナとのキスは、甘くて美味しい。
 腰を引き寄せて撫で回していると、アルベルティーナが頭を振り、顔を離した。

「ぁ……ん、駄目」
「なんでだ」
「子どもを産んだばかりで、主治医から許可が出てないから」

 潤んだ瞳のアルベルティーナはとても美味しそうではあったけど、無理をさせるのは本位ではなかったので、ヴィクトルは素直に引いた。

「それよりも! ちょっと、あたしの求婚を無視するとは、良い度胸、してるわね!」
「いや、アルベルティーナの唇が目の前にあったから……」
「もー! それで、返事は?」

 ヴィクトルはここまで来てもまだ迷っていた。

 アルベルティーナといたらとても楽しい。
 離れていた間、ずっと考えていたのはアルベルティーナのこと。
 だからといって、このままアルベルティーナの求婚に首を縦に振ってもいいのだろうか。
 そして、ヴィクトルはアルベルティーナにまだ、重大なことを告げていないことに気がついた。

「おれ、魔族なんだが」
「うん」
「……いいのか?」
「あのね、子どもまで作っておいて今さらそれ? 遅すぎない?」
「……おっしゃるとおりで……」

 アルベルティーナは呆れたようにヴィクトルの頬を掴んだ。かなり痛い。

「ケヴィンの後継者に魔王との子をって話もあったくらいなのよ? それと一緒よ、今さら、今さら」
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