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はらぺこ魔王さまのお食事係!【完結】
第13章 【第十三話】仲良し
 それは、とても薄い布でできたローブのようなものだった。
 セラフィーナはそれを羽織り、アリシアに先導されて、浴室から別の部屋へと移動した。

 そこは今まで入ったことのない部屋で、ところ狭しと衣装が置かれていた。

「セラさま、婚姻の儀のときの衣装ですが、なにかご希望はございますか?」
「んー、白いの?」
「白、でございますか」
「あ、でも、ルードが黒いから、黒のほうがよい?」
「いえ、陛下からも白という希望をいただいておりますので、白でよろしいかと」

 ルードヴィグと意見が合うとは思っていなかったセラフィーナはその一言で驚き、だが、嬉しくて笑みを浮かべた。

「じゃあ、ルードも白いの?」
「そうですわね。陛下も白をお召しになるかと」
「お揃い?」
「はい」

 お揃いをまた着ることが出来ると知ったセラフィーナはさらに機嫌がよくなった。
 その様子を見ていたアリシアたちは、自然と笑顔になった。

 そうして、セラフィーナの意見を取り入れつつ、婚姻の儀の準備は滞りなく終わり、あとは儀式が始まるのを待つばかりとなった。

 部屋に待機していると、アーベルが呼びにやってきた。

「セラさま、お待たせいたしました。婚姻の儀を開始いたしますので、移動をお願いいたします」
「ん」

 セラフィーナはアーベルとアリシアの様子を見たけれど、アーベルはともかく、アリシアは不自然なほどよそよそしい態度を取っていた。

「アリシア、アーベルと仲良くしないと」
「セラさま!」
「アーベルはアリシアと仲良くしたいのよね?」
「私はアリシアとは仲がよいと思っていますけど」

 アーベルはそういうなり、アリシアの横に立ち、腰を抱いた。
 アリシアは、アーベルの手を叩いて払い除けるのだが、アーベルはするりとかわして腰を抱く。

「アーベルさま、からかうのはよしてください!」
「からかってなどない」
「うん、仲良しさんね!」

 セラフィーナの感想はずれているような気がしたが、アリシアはともかく、アーベルは満足げに笑みを浮かべた。
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