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瀬音とボクとよしみくん
第12章 病室で○
「ウーッス! 生きてるか? 瀬音っ!」


ノックもせずに、誰かが入ってきた。


ガヤガヤと何人も。


ボクは慌てて、瀬音くんから離れて、近くの椅子に座る。


極限まで高まった鼓動をなんとか落ち着かせ、平静さを装う。


ただの見舞い客のように。


やがて、ベッドのカーテンを開け、男子数人が、はいってきた。


「……うん?」


騒がしさで瀬音くんも目を覚ましたよう。


入ってきた男子たちはボクらの同級生で、瀬音くんと仲の良い人たちだった。


瀬音くんを驚かせようと勢いよくカーテンを開けた男子たちだったが、そこには見ず知らずの女装姿のボクがいた。


「え……誰?」


瀬音くんと、ボクと、男子たちに変な間が。


「んぁ? なんだ?」


瀬音くんは寝ぼけていて、状況がつかめてないみたいだ。


唯一状況を理解するボクだけど、何も言えず、この状況をただ黙ってやり過ごすしかできない。


瀬音くんがケガをして入院をしているところに、女装姿でお見舞いにきたボク。


その姿に驚く男子たち。


男子たちは、みんなボクも知っている人ばかりで、その中には、まさか、有貴くんまでいた。


言い訳しようにも言葉が出ない。


体中から冷や汗があふれ出す。


まさか、こんな女装姿をみんな見られるなんて。


永遠にも感じる変な間が続く。


バレているかな?


ボクが同級生の純だって。


もう、終わりだ。
あぁ、今すぐ帰りたい。
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