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瀬音とボクとよしみくん
第16章 神様お願い
くじは、一人ずつ、段ボールに入ったお手製の三角くじを引いていく。


それは、一斉にではなく、生徒会長と副会長の二人が、休み時間などに一人ずつまわって行う。


そして、とうとう、ボクの番。


「さぁ、君の番だよ。引きたまえ」


「あと、何枚残ってるの?」


「安心したまえ。すでに、4枚出て、あと2枚となった。36分の2だ」


え、もう?


そんな……


みんなは、もちろん、アタリなんか引きたくないはずだけど、ボクにとっては逆。


「ちなみに、女子は?」


「終わったのか? 副会長」


「えぇ、終わりました」


生徒副会長のゆかりちゃんが、わざとらしいため息をつきながら答える。


「残念ながら、私が最後の最後で当たってしまったの」


残念といいながら、かすかに笑みがこぼれてるのをボク見逃さない。


よかったね、ゆかりちゃん。


「純くん、健闘を祈るわ」


ゆかりちゃんは、何故か、握手をしてきた。


なにやら違和感が。


そう、ゆかりちゃんは、ボクの手に、こっそりと、アタリくじを渡してくれたのだ。


ありがとう、ゆかりちゃん。


これで、ボクも瀬音くんと踊れる。


「……じゃあ、引くね」


あとは、そのまま段ボールの中に手を入れて、さも引いたかのようにすれば……


「待ちたまえっ!」
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