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瀬音とボクとよしみくん
第16章 神様お願い
段ボールに手を入れた瞬間、生徒会長が、いきなりボクの手をわしづかみする。


「わたしの目がごまかせるとでも?」


「え? いや、ちがうよ」


お願い、見逃してよ。


「不正は許さん。そうまでして、伝統のフォークダンスの女装をさけようなんて、恥ずかしくないのかっ!」


熱血生徒会長で有名なだけあって、なにやら熱い。


ボクの手にあったアタリくじは生徒会長に奪われる。


違うのに。
これは、アタリだって。


「何? ちゃんと引いたよ」


今、開けば、それがわかるのに。


わざわざアタリをもらう奴なんていないから。


「いや、なにやら、副会長からくじをもらったように見えた」


「そんなわけないって」


「いや、入れた瞬間に掴んだのに、何故くじを持っている?」


「入れた瞬間に掴んだって」


「いや、ありえない」


「とりあえず、開けてみてよ」


そうすれば、わかるから。


「いや、駄目だ。不正は許さない」


「不正じゃないって。副会長がそんなことするはずないでしょ?」


「うん? う~ん。たしかに……」


生徒会長は急に黙った。
日頃のゆかりちゃんの行いのおかげだ。


「副会長、どうなんだ?」


「まったく知りません」


ゆかりちゃんは無表情で答える。


いつものゆかりちゃんだ。


さすがだ。


たぶん、女子を決める時も同じようにしたはずなのに。


おそらく、その時は、たまたま生徒会長がいなかった?


もう、今日もそうだったら100%OKだったのに。
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