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瀬音とボクとよしみくん
第24章 有貴くん⑤ 再会
純ちゃんはなんとかアドリブも交えて劇をつなげようとする。


「謝らないでください。あの時、私を助けてくれたのは王子様ですよね」


「え?」


「あの時、森のなか、湖のほとりで、倒れていた私を助けてくれたのでしょう?」


倒れていた?
寝ていた、のはずでは?


「あ、あぁ」


「あの時は、ありがとうございました。会って、ひと言、お礼が言いたかったのです」


純ちゃんの声をしっかりと聞こうとして、歓声は落ち着いたようだか、純ちゃんが動くたびに波のように盛り返す。


劇というより、まるで純ちゃんのライブ。
純ちゃんが観客に手を伸ばし、舞台上を動きまわるごとに、歓声が湧き起こる。


そんな歓声の中、一人、変な声が響く。


「……めなさい……やめなさい」


よく聞きとれないが、今度こそ、本当の大ブーイングが巻き起こる。
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