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瀬音とボクとよしみくん
第30章 有貴くん⑥ 失恋
記録会。
正直、見ようかどうか迷っていたが、純に会ってしまった以上はしょうがない、見ていくか。
暇だしな。
まぁ、でも記録会は見ていても本当につまらない。
レースではないから淡々と進んでいく。
一年生から順に次々と。
番号で呼ばれていくから本当に味気ない。
観客席には関係者しかいない。
それもちらほらと。
ほとんどがジャージ姿で、歓声を上げることもない。
私服姿でずっと見ている俺は少し場違いだな。
しかし、やがて、観客席に人が集まりはじめる。
《3001番!》
「は、はいっ!」
純がやっと出てきた。
くくくっ。
めちゃくちゃ緊張してるな。
分かりやすい。
右手と右足が同時に出てるぞ。
何百人の前で演技していた奴とは思えないな。