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瀬音とボクとよしみくん
第30章 有貴くん⑥ 失恋
瀬音を見たかった観客が大勢いたのに、何故か場内は静かだった。
純の泳ぎが場違いだからだ。
瀬音のあんな泳ぎを見せられたらなおのこと。
静かな場内がやがてざわつきはじめる。
純……
純にはダメもとでデートを申し込んだ。
断られると思ったから、返事は聞かず、ただ日時と場所だけ伝えた。
来ないと思った。
ただ惨めに待ち続けて、純ちゃんへの思い断ち切るつもりだったんだ。
なのに、待ち合わせ時間の30分前にはすでに純は待っていた。
劇の時とはまた違う、おれの想像の中の理想の純ちゃんが、そのままいた。
あの時の純ちゃんだ。
それだけで、嬉しくて涙した。
純の泳ぎが場違いだからだ。
瀬音のあんな泳ぎを見せられたらなおのこと。
静かな場内がやがてざわつきはじめる。
純……
純にはダメもとでデートを申し込んだ。
断られると思ったから、返事は聞かず、ただ日時と場所だけ伝えた。
来ないと思った。
ただ惨めに待ち続けて、純ちゃんへの思い断ち切るつもりだったんだ。
なのに、待ち合わせ時間の30分前にはすでに純は待っていた。
劇の時とはまた違う、おれの想像の中の理想の純ちゃんが、そのままいた。
あの時の純ちゃんだ。
それだけで、嬉しくて涙した。